大阪府公文書館 - 大阪あーかいぶず第68号
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 「あーかいぶず(Archives)」とは、英語で公文書、文書館という意味です。  
   第68号  令和8年3月
   大阪府公文書館発行  
 

目次


〇令和8年度上期企画展示 開催のお知らせ「所蔵資料にみる昭和時代の大阪府-戦前編- 」 
〇令和7年度歴史講座を開催しました
〇第40回大阪府公文書館運営懇談会を開催しました   

 

令和8年度上期企画展示 開催のお知らせ「所蔵資料にみる昭和時代の大阪府-戦前編- 」


 昭和100年」という言葉を耳にする機会が多 くなっています。令和8[2026]年は、昭和元[1926]年から起算して満100年を迎えますが、 この節目にあたる今年、国においては「昭和の躍動や体験を発掘し、次世代に伝承していくための施策」、「昭和を顧み、昭和を学び、未来に切り開いていくための施策」、「『昭和100年』の機運を盛り上げていく施策」を積極的に取組むとしています。 大阪府公文書館でもそれに呼応した企画展示「所蔵資料にみる昭和時代の大阪府」開催します。

 昭和時代(1926年~1989年)の大阪府は、日本の経済・文化の中心地の一つとして多大な発展を遂げました。この時代、戦争の影響、復興、高度経済成長、そしてバブル経済といった激動の波に翻弄されつつも、独自の文化と活気を保持し続けました。
 昭和初期は、大正時代から引き続き、繊維工業や機械工業などの産業が発展し、多くの労働者が集まり、道頓堀や心斎橋などの繁華街も賑わいを見せていました。
 第二次世界大戦中、日本有数の工業都市であったため、空襲の標的となり昭和20[1945]年3月と6月の大阪大空襲では、多くの市街地が焼失し、甚大な被害がもたらされました。
 戦後期は、多くの方が犠牲となった戦災を経て、高度経済成長を象徴する1970年大阪万博を開催するなど、激動の時代を府民とともに歩んできました。
 このような未曽有の激動と変革、苦難と復興をくぐり抜けてきた大阪府の昭和時代について、上半期の展示では戦前期を中心に、令和8[2026]年に竣工100周年を迎える大阪府庁舎本館、昭和の御大典、軍都といわれる大阪の様子などを当館所蔵資料から振り返ります。

 大阪は、日清・日露戦争を経て、綿紡績や鉄道を中心とした工業が勃興し、これらを支える商社や銀行といった商業の発展によって「東洋のマンチェスター」と呼ばれるようになり、さらに、第一次世界大戦による戦争景気は、大阪を大きく成長させることになりました。
 こうした大阪の発展にともなって、府庁の事務量、職員数も増加するようになり、大正元[1912]年の職員数は、約3,400人にも上りました。こうした中、大正3、4[1914、1915]年には、江之子島庁舎の改築・増築が行われましたが、そもそも明治初年に建てられた庁舎の設備では限界がありました。
 大阪府庁舎本館(三代目大阪府庁舎)は、大阪市中央区大手前にあった不用の陸軍用地に総工費約384万円をかけて4年がかりの工事の末、大正15[1926]年10月31日に完成。新庁舎は、 地上6階地下1階の鉄筋コンクリート造、敷地面積約30,500㎡、建築面積約6,400㎡で、延床面積は、江之子島庁舎の約7倍に当たる30,000㎡の 広さになりました。

 現在、大阪城の周辺には大阪府庁舎のほか、大阪府警察本部や国の合同庁舎などの官公庁が立ち並んでいますが、戦前・戦中の大阪城内は軍用地で周辺には陸軍関係の施設が集まっていました。
 大阪には約1万人の将兵が所属する第四師団が置かれ、師団司令部のほか、歩兵第八連隊や軍の病院・刑務所などがその周辺に集められ、大阪城の東側には武器や砲弾を製造する砲兵工廠(こうしょう)がつくられま した。また、府内にも高槻市に工兵連隊、堺市に騎 兵連隊、和泉市に砲兵連隊が置かれ、他にも飛行場や火薬庫、軍需工場などの施設が多数あり、軍の諸機関や施設が集中する都市を「軍都(軍事都市)」というなら大阪はまさに「軍都」でありました。
 戦中は、空襲から守るための防空施設や、人的な被害を軽減するための防空壕が各所につくられました。また、焼夷弾による火災延焼を防ぐために建物を取り壊し、空地(防火帯)や道路を作る「建築物の疎開」(建物疎開)も行われており、本展示にて詳しくご覧いただけます。

 常設展示コーナーでは、公文書館開館の沿革やこ れまでに刊行された出版物を紹介していますが「大正の広重」と呼ばれた鳥瞰図(ちょうかんず)絵師・吉田(よしだ)初三郎(はつさぶろう)が描いた「大阪府鳥瞰図」(昭和7[1932]年)の原本資料を展示しています。
 公文書館では、昭和60[1985]年に大阪府鳥瞰図を歴史的文書資料として保存・保管するとともに展示するようになりました。
 制作後90年以上経過していることから、昭和100年の節目となる令和8年度に専門業者による修復(クリーニング)を行い、年度後半には綺麗になった鳥瞰図をご覧いただける予定です。当館所蔵資料への関心を高めていただく機会になれば幸いです。  
🔳展示期間 令和8年4月1日(水曜日)から9月29日(火曜日)まで
 ただし、土曜日、日曜日、祝日及び振替休日を除く 午前9時から午後5時15分まで(最終日は正午まで)  
🔳展示場所 大阪府公文書館展示室  所在地:大阪市中央区大手前2-1-22府庁本館1階

 
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令和7年度歴史講座を開催しました


 大阪府公文書館では、歴史的価値の高い公文書などを身近に感じていただくとともに、これらの資料を保存し、後世に引き継ぐことの大切さを理解していただくために、歴史講座を実施しており、今年度は令和7年10月20日(月曜日)、府庁本館5階正庁の間で『歴史講座「大阪の橋」』を開催し、大阪の橋の近代化の歴史について解説しました。

 かつて大阪は、河川と運河を活用して水運が発達し、その水運に支えられ経済と文化の中心都市として発展。特に江戸時代に多くの橋が架けられたことで浪華八百八橋(なにわはっぴゃくやばし)と呼ばれていました。約200あった橋のうち、官費で架け替え修繕を行う幕府直轄の「公儀橋」は天満橋や天神橋、難波橋など12橋しかなく、残りは橋所在地から一定の範囲内の町人が経費負担する「町橋」であったことも浪華八百八橋と呼ばれたもう一つの理由となっています。
 明治維新とともに西洋文明が流入し、橋づくりにおいても「鉄」という全く新しい材料が用いられるようになり、イギリスより技術輸入された鉄橋、別名「くろがね橋」の高麗橋は、明治3[1870]年に大阪では初、全国で3番目の鉄橋として完成し、明治15[1882]年までに、いくつかの橋が鉄橋となっています。
 明治18[1885]年の淀川大洪水後、第5代大阪府知事建野郷三は橋再建のため、大阪市内の主要な18橋の鉄橋化案を府議会に提出しますが、財政的な理由による議会の反対により5橋(天神、天満、木津川、渡辺、肥後)を鉄橋化、残りは橋杭のみ鉄材、欄干を木材で再建。このうち天神橋は、ドイツ製の鉄材を主に使用、コンクリート、花崗岩(かこうがん)などを組み合わせた最先端の技術を駆使して完成。今まで見たことのない長大橋の出現に人々は非常に驚いたといわれています。
 明治維新以降、特に大正から昭和初期にかけては大阪の工業都市化が飛躍的に進みました。大量輸送機関として汽車や電車が導入され、市電(路面電車)敷設のため道 路の拡幅工事が行われました。明治36[1903]年か ら大正中期にかけて市電の走りに耐えるために架設・改築された橋は50以上あり、これらの橋には、当時、実 用化された鋼の普及により急速に実用性重視の永久橋化が進みます。
 大正10[1921]年の大阪市第一次都市計画事業では、橋と都市景観づくりを目的に当初は街路の新設・拡幅に伴う橋の新改築を7年で行う計画でしたが、関東大震災を契機に82橋を耐震構造へ改築、約20年間で 150を超える橋が永久橋となりましたが、大阪では、実用性だけでなく「水都」にふさわしい美しい景観が求められ装飾を施しやすいアーチ橋を積極的に採用、今日でも近代的な都市景観形成の一翼を担っています。
  戦後は、舟運需用の減少と水質低下による環境の悪化、道路や公園などの公共用地を確保するため、堀川の埋立てにより橋そのものは姿を消しましたが、「橋」という名前だけが地名(心斎橋、四ツ橋、鶴橋、桜橋など)として今も残っています。

 今回の歴史講座は、募集定員に対し109名の方々から応募があり、抽選の結果、当日は31名が参加され、熱心に聴講いただきました。短時間で内容も多岐にわたりましたが、おかげさまでおおむねご好評をいただくことができました。今後とも、皆様に喜んでいただけるような企画に努めてまいります。

 
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第40回大阪府公文書館運営懇談会を開催しました


 令和7年12月23日(火曜日)に第40回大阪府公文書館運営懇談会を開催しました。
 大阪府公文書館運営懇談会は、大阪府公文書館の運営の円滑化を図るために設置し、歴史研究分野や行政法分野、情報化分野の有識者、歴史的文化的資産を扱う図書館や博物館の関係者の方々に委員に就任いただいております。
 当日は4名の委員の方々にご出席いただき、活発な意見交換が行われ、これからの公文書館運営に関し、たいへん有益な懇談会となりました。

【出席委員(50音順)】
 青木 茂樹  大阪公立大学大学院 情報学研究科 准教授
 澤井 浩一  大阪歴史博物館副館長
 園田 かおり 府立中之島図書館大阪資料・古典籍課長
 長谷川 佳彦 大阪大学大学院 法学研究科 教授

【議題】
・公文書館の運営状況について
・レファレンスの概要について
・歴史的文書資料類の収集・選別について
・その他 [主な議事概要]
・公文書館において、令和6年度登録した歴史的文書資料類について説明を行いました。⇒戦前の収用裁決等の簿冊を含む1,602点を登録しました。
・公文書館窓口でのレファレンス業務等の概要を説明しました。⇒令和7年のレファレンスの傾向としては、前年同様、地形図や航空写真、神社や寺院の明細帳に関する問い合わせが寄せられました。
 また、熊本県出身で現在の民生委員制度のもととなる「方面員制度」を創設したことから、民生委員の父とも呼ばれている第15代大阪府知事林市蔵の顔写真データに関する熊本市からの照会や、メディアからは戦前・戦中に大阪府庁にあった「特別高等警察」に関する資料が保存されているかといった照会が寄せられました。 なお、委員からは所蔵資料に関するご質問や、レファレンスに関するご意見を頂きました。
・歴史的文書資料類の収集・選別に関して、歴史的文化的資料としての価値を有しているか、専門家の意見を聴く必要があるものを対象に、委員に対して簿冊概要や選別理由等をとりまとめた資料や簿冊原本により説明を行い、ご意見をお伺いしました。
 
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